「ねぇ、星が落ちてきたらどうする」
「どうってなんだよ」
「どうする? 逃げる?」
「あぁそういうこと。星の大きさにもよるかねぇ」
「んー、四国ぐらい?」
「でかすぎだろ、逃げるまでもなく死んじゃうじゃん」
「そうだねー、逃げらんないね」
「逃げらんないって……さては何も考えてないだろ」
「んー?笑」
「考えてねぇな」
「でもあたしは決めてるよ、四国が落ちてきたらどうするか」
「四国って言っちゃってんじゃん」
「えへへ」
「で? どうすんの」
「旅行行く。アメリカ。」
「旅行か」
「うん」
「でも星が降ってきたらみんな外国に逃げようとするし、飛行機は混みそうだな」
「そこはほら、事前に予約しておいてさ」
「星が降ってくるかも分からないうちに?」
「そ」
「そ、じゃねえよ」
「痛っ、なーんでデコピンすんのさ」
「言ってることがめちゃくちゃだからだよ。なんだよお前は、エスパーか何かか」
「いーじゃん、そういう時ぐらいはエスパー使えても」
「なんじゃそら」
「ふふ」
「ってかそのアメリカ旅行に俺は一緒に行けるのか?」
「さー?」
「さー? って」
「キミ次第だよ。その時あたしの隣にいたら、そりゃキミをアメリカに連れて行くしかないでしょ」
「へー。てっきり連れてってくれないのかと思った」
「あたしもそこまで薄情じゃないよ。でもその時になってみないとわかんないかもなー」
「ふーん」
「あれ、意外とつれないね」
「まぁそりゃそうだと思った」
「なるほどね」
「てか俺も決まったぞ」
「何が?」
「何が? って話の流れからして分かるだろ」
「あぁ星?」
「そう星」
「何すんの」
「お前にキスする」
「……そんだけ?」
「そんだけ」
「結構色々してきた気がするんですが」
「そんだけ」
「てかあたしと一緒にアメリカ行かないの?」
「行く。行って、キスして死ぬ」
「何それ」
「何だろな。ただ、俺はなんとなくそうしたいなーって思った」
「ふーん、変なのー」
「急に興味なくなったな」
「うん、キミの答えがあまりにも微妙だったから」
「へーへー、すいませんでしたね」
「うん、もっと謝るべき」
「ごめんなさいね」
「許す」
「てかさ、アメリカ行くならギリギリ耐えられそうだよな、隕石」
「分かんない、どうなんだろね」
「おっ、流れ星」
「ほんと? あたし見えなかった」
「結構でかかったぞ」
「ショックー」
「星、綺麗だなー」
「そだねー」
「明日は晴れるな」
「そだねー」
「洗濯物、俺がたたんどくよ」
「ほんと? 助かる」
「結婚しようぜ」
「……えっ?」
「……ここでキスをしてきますか」
「ここでエスパーは発揮されませんでしたか」
「うっさい……あ、流れ星」
「見えた? 良かった」
「あれがここまで降ってきたら、あたしたち死んじゃうね」
「かもな」
「降ってきたらどうするんだっけ?」
「うっさい」
「いいよ」
「え?」
「結婚。しよ」
「マジで」
「うん。星が落ちてくる前に、結婚しちゃお」
「はは。軽いな」
「決まりごとはあとでちゃんと決めようね」
「了解」
「星、綺麗だね」
「だな」