多分すぐ飽きる

どうせじき飽きるので、適当なことを書いています。

砕け散るところを見せてあげる

 友達に貸しちゃったので写真はないです。

 

 表紙を浅野いにおが描いてる竹宮ゆゆこの小説です。読んだのでネタバレをしないように感想を言います。でもネタバレなのかもしれないから気になる人はこんなブログ読まずに小説を先に読んで。すごくいいから。

 

 最初、読んだときは結末がよく分からなくて「どういうこっちゃ」となったんですが、よくよく考えてみると「あああああ〜」と。すごく深い愛の物語だということに気付きました。

 

 方々で言われてはいるんですが、比喩と叙述のクセのせいで一回で全貌を取りきれなくて、そこを読みきるのがキツイと帯の文句には一生辿り着けないと思います。確か帯には「最後の一文の意味を理解したときあなたは涙する」みたいなことが書いてあったと思うんですけど、これを理解するには複雑な構成を完璧に理解しなければならないんですよね。読者選んでんなーって思いました。

 

 複雑って言ってますが、別にこれは推理小説ではなくて恋愛ものだと思うので、重点を置かれるのはそこじゃないんですよね。こうまでして複雑な叙述と認知のすり替えをやらないと、ゆゆ子さんが伝えたかったカタルシスってのは間違いなく伝わらないように出来てるんですよ。実際最後の一文はこの小説の主題でした。この一文をめがけて文庫本300ページ程度を書いてるんじゃないかと思うくらいの話でしたよ。だから多少難しくても、この手法を取らないとこんなに凄い話にはならなかったんじゃないかな、って思いました。

 

 偉そうに喋りましたが繰り返し読むべき小説だと思います。一回目で「?」が浮かんでも、二回目ではきっと分かると思います。それでも分からなかったら優秀な解説記事もあります。とにかくこの小説を読んでほしいです。

 

 全ては最後の最後、たった一文に集約される話です。ですがそれに辿り着くには、この話はあまりに複雑で、でも複雑でないと、この話は面白くない。最後の一文のために出来上がったこの小説を、ぜひ読んでもらいたいなって思いました。

 

 いや何様だよ。